ボーイ・ミーツ・ガール BOY MEETS GIRL (1983年:フランス)
監督:レオス・カラックス
脚本:レオス・カラックス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィネ
編集:ネリー・クティエ
音楽:ジャック・ピノー
キャスト:ドニ・ラヴァン、ミレーユ・ペリエ、キャロル・ブルックス、アンナ・パルダッチニ、バンス・メイヤー、エリー・ポワカール、クリスチャン・クローレック
アレックス(ドニ・ラヴァン)は失恋したばかり。恋人フロランス(アンナ・パルダチーニ)は親友のトマ(クリスチャン・クロアレック)の元へ去った。アレックスは壁の絵の裏の「自分史」に新たに書き入れる。
最初の殺人未遂、83年5月25日。グロ・カユーの河岸にて
一方、ミレーユ(カミーユ・ペリエ)も恋人のベルナール(エリー・ポワカール)と喧嘩別れした。
外に出たベルナールがインターフォンの中のミレーユと話すのを聞きとめたアレックスは、 ベルナールの跡を付けてカフェで彼のメモを拾う。ミレーユとベルナールに宛てたパーティの誘いだった。
アレックスはそのパーティにベルナールの友人と称して入り込み、ミレーユの姿を追う。既に彼は彼女に恋している。
キッチンで出会った二人はとりとめなく話し続ける。
ミレーユのアパートでは、ドアから水が漏れている。部屋の中に飛び込んだアレックスが床にうずくまったミレーユの背中を抱きかかえた途端、ミレーユのセーターの胸に赤い染みが広がる。ミレーユはその手にハサミを持っていたのだ。
ゴダールの作風の影響を受けていることはすぐに分かったけれど(編集、SEから)、五月が舞台であること、キートン、コクトー、トーマス・マンの作品のオマージュだということは分からなかった。だが、作品を見て感じたことがこの映画の感想でいいと思う。
破局を迎えた二つのカップルのそれぞれ男女が出会い恋する映画だけれど、この映画で大事なのは、作品を通して常に流れている孤独感。一人であることから逃れたいという足掻き。その題材が監督やキャストの若さを実に物語っていると思う。これは20代に見るべき映画だと思った。
大学時代にこの作品を見て記した引用メモには、
逃れたいモノローグや言葉の奔流から。苦悩を音楽にしたくない。恋人を言葉で殺したくない。でも黙れば彼女が自殺する。キスも唇をふさげない。
ぼくは飛びたい。重すぎる。トラックのようだ。ぼくは生き返らない、決して。
今でもよく分かる。でも昔と違うのは、言葉の奔流と上手くやっていく方法を身につけたこと。今は辛くはないこと。
アレックス三部作の第一作目は、ほとんど一方通行の恋愛だった。
では、三部作にそれぞれ一曲は流れるデヴィッド・ボウイの歌のシーンを見てみましょう。
David Bowie - When I live my Dream (Boy meets girl)
ベリーショートにしたミレーユ・ペリエ、綺麗です。