ほくほくほんだな棚卸し

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家族の波紋 Archipelago (2010年:イギリス)

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監督:ジョアンナ・ホッグ

脚本:ジョアンナ・ホッグ

撮影:エド・ラザフォード

キャストトム・ヒドルストン、ケイト・フェイ、リディア・レオナルド、クリストファー・ベイカー、アンドリュー・ローソン、エイミー・ロイド

 

ひとつの体験を共有する映画だった。

ひとつの映画の中の家族を通じて、自分の家族とも出会う作品だった。もうこれ以上耐えられないと思う場面もあった。

だが、別れ際には寂しさを感じ、しかし同時にホッとするあの独特な体験を映画を通して感じた。

 

この作品中全て固定カメラにすることで美しい島の画を支え、鳥たちの声やざわめく緑の自然音をずっと流し続けることで音楽を必要とせずとも耳を楽しませた。

この作品初主演作にしたトム・ヒドルストンはとても幸運であっただろうが、彼の個性には非常にマッチしていた。素晴らしい演技だったと思う。

 

家族に絵を教える画家の先生役が非常に貴重な台詞を多く残していた。

抽象とは削ぎ落として簡素化することだ。蒸留とも言える。つまり抽象という実態が存在するわけじゃない。抽象とは重要な情報をシンプルにして絞り込むこと。自分の意図を明確に伝えられる。僕の絵の指導は独特で、まず具体的な描き方を教える。そこに混沌の考え方も取り入れる。そういう感じで今回の絵の旅を進めよう。いわば無人島で二頭の馬を競わす感じだ。具体とカオスの二頭の馬。どちらかが先行するけど、地味なのは意図だ。技術も必要だ。

 

何をするかは問題じゃない。強い信念をもてるかだ。君自身に確固たる思いがあるなら、人も説得できる。作り事は通じないよ。やがて人は信じてくれる。自分さえ信じればね。どこかに道が隠されているわけじゃない。そんなものはない。

 

強くなるというのは、自分の道を進むことだ。君自身の中にあるものを信じろ。それが重要なことだよ。まだはっきりせず、正確に言えなくてもね。誰かに“これだ”ときちんと言葉で表現できなくても、とにかく時間はかかるよ。自分の思いに至るまではね。すぐ気付く人もいるよ。僕は時間がかかった。その方が良かった。いろんな見方を学べた。

 


映画【家族の波紋】予告編